これは、「公務員は、出張先で飲食や買い物など、いろいろなところにお金を落としてくるべきだ。そして、地元経済に貢献してこい」という教えです。これは、一見当たり前のように見えますが、なかなか含蓄のあるフレーズです。
自治体職員であれば、誰しも、地域経済の活性化を考えているものです。人口減少時代の現在、「どうしたら、地域がもっと良くなるか」は切実な問題です。そうした思いを持つ自治体職員だからこそ、自分の自治体だけでなく、出張先の自治体の大変さも、よくわかるのです。
このため、出張先ではいろいろとお金を落とすことは、あまり職員に違和感がないように思います。ただ、一部の職員は、なんとか旅費をフトコロに入れようと、いろいろと画策している職員もいるとか、いないとか…
出張は、視野を広げてくれる良い機会でもあります。自分の自治体とは異なる自然環境や文化、産業構造なども異なりますので、「なるほど、そんなことがあるのか」と驚くことも少なくありません。新鮮な驚きなのです。そのことで、自分が井の中の蛙であったことを、改めて自覚することもあります。
また、出張の自治体との交流も生まれます。事業や施策が異なることはもちろんですが、それが生み出された背景や庁内文化が、ユニークなことも少なくありません。自分の自治体とは異なる点を、いくつも発見することもできます。それらは、自分の自治体に応用することもできるのです。
民間企業とは異なり、自治体同士であれば、基本的にいろいろなことを教えてくれます。「企業秘密」のようなことは少なく、場合によっては「ここだけにしてくださいね」といって、とても重要な情報を教えてくれることさえあります。本当にありがたいことですし、自治体職員同士のつながりを感じる瞬間でもあります。
このように、出張はいろいろな意味で非常に貴重な機会なのです。ただ、現在はこうした出張の機会が少なくなっていることは、とても残念なことです。
ただ、注意しなければいけないこともあります。いくら「お金を落とせ」と言われたからと言って、深夜遅くまで飲み屋を渡り歩いてしまうと、翌日はひどい二日酔いとなってしまい、出張どころではなくなってしまうことです。…あっ、すみません。実体験でした。
コメント