1 概 要
①競争試験とは、特定の職に就けるため、不特定多数の者の競争によって選抜を行う方法
②選考とは、競争試験以外の能力の実証に基づく試験のこと
2 競争試験と選考の違い
競争試験・選考とも、任用の根本基準である能力の実証(地公法15条)のための方法の1つです。非常に似た言葉ですが、両者には違いがあります。
競争試験とは、特定の職に就けるため、不特定多数の者の競争によって選抜を行う方法です。選考とは、競争試験以外の能力の実証に基づく試験をいい、特定の者が特定の職に就く適格性を有するかどうかを確認する方法などがあります。
競争試験は一般的な採用試験を、選考は自治体職員を対象とした係長試験、管理職試験などの昇任試験をイメージするとわかりやすいと思います。
人事委員会・競争試験等を行う公平委員会を置く地方公共団体においては、職員の採用は競争試験によるものとされていますが、人事委員会規則・公平委員会規則で定める場合には、選考も可とされています(地公法17条の2第1項)。人事委員会を置かない地方公共団体においては、職員の採用は、競争試験または選考によるものとされています(地公法17条の2第2項)。
3 試験機関
採用のための競争試験・選考は人事委員会が行いますが、人事委員会を置かない地方公共団体は任命権者が行います。競争試験・選考の実施とは、受験資格の決定や志願者の公募をはじめ、各種の試験の実行、判定などを含みます。
また、人事委員会・任命権者は採用のための競争試験・選考について、以下のことができます。
①他の地方公共団体の機関との協定によって共同実施すること
②国・他の地方公共団体の機関との協定によって委託すること
①は、具体的には、複数の市町村長が共同で採用試験を実施するようなことがあります。
②については、国の機関としては人事院や、高度の専門職員を採用する場合に国の試験研究機関などが想定されます。ただ、委託ですので、相手方の同意が必要となります。試験を実施する名義は、委託を受けた機関の名で実施されるものとされています。具体例としては、市町村長が職員の採用を、単独または共同で県の人事委員会に委託することなどが想定されます。
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