6 新人職員は優秀、係長・課長と上に行くほど職員はひどくなる

格言集

このフレーズは、自分が入庁した30年以上前から、よく庁内で言われていたフレーズです。役所を辞める最近まで聞いていましたので、もしかしたら、多くの自治体でも言われているのかもしれません。

このフレーズは、公務員自身が言ったものなのか、それとも公務員以外の外の人が言ったフレーズなのかは、よくわかりません。また、どこで生まれたものなのかも、判然としません。ですが、なかなか説得力のあるものだと思うのは、私だけでしょうか。ただ、これまでの自分の経験と照らし合わせて考えると、納得できる部分も確かにあるのです。

例えば、役職が上に行けば行くほど、自治体独自の文化や習慣に染まっていかざるを得ない面があります。会議やメールなどのコミュニケーション方法はもちろんのこと、「〇〇については、△△さんに話を通しておかないと、うちの役所では仕事が進まない」といった、困った暗黙の組織ルールもあるからです。役職が上の人ほど、こうした自治体独自のルールを身につけていく必要があります(身につけないと、トラブルになるからです)。

しかし、困るのは、こうしたルールが絶対視されて、「お前、〇〇を知らないのか。そんなことでは、うちの市では仕事にならんぞ」と、これ見よがしに鼻を膨らませて話す、上から目線の上司がいることです。それは、確かにその自治体で仕事をする上で大事なことです。ですが、それを絶対視してしまい、その組織でしか通用しないものだということを意識しないで、下の人間をバカにしてしまうのです。

先のような、自治体独自ルールを絶対視する上司ばかりだったら、さすがに部下はやる気をなくすでしょう。「そんなこと、役所の外では全く関係ないのに」と思うかもしれません。この感覚が、冒頭のフレーズに関係しているように思えるのです。

つまり、新人職員は広く物事を捉える視野があるのに、係長・課長と役職が上がるにつれて、役所内の文化だけを絶対視するようになり、狭い役所世界だけの中で競い合っているように見えるのです。言い方を変えれば、経験が長くなればなるほど、役所文化だけに染まっていく、視野が狭くなっていく、井の中の蛙になっていく、と言えるかもしれません(もちろん、職員全員がそうだというわけではありませんが)。

役所の職員は、中途採用や社会人経験者は少数です。課長以上の管理職であれば、いきなり外から任用されるというケースはほとんどないでしょう。このように、公務員の多くが外の風にさらされる機会がほとんどありません。そして困ったことに、先のような鼻を膨らませて話す上司の影響力だけが大きくなっていくのです。こんな違和感を、皆さんも感じませんか。

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