「仕事が面白い!」と感じる場面が、皆さんにはあるでしょうか。さすがに、入庁したての新人職員では言われたことをこなすので精一杯で、とても面白いと感じるまでの余裕はないかもしれません。しかし、ある程度の経験を重ねた職員であれば、そう感じることもあるかと思います。
その1つが、自分なりのアイデアや工夫が生かされたときではないでしょうか。例えば、防災課から教育委員会に異動した職員がいました。その職員の担当業務に学校や幼稚園の防災対策があったのですが、異動早々に従来の「学校防災マニュアル」が現状と合っていないことを知りました。そのため、マニュアルの改定を係長に進言したところ、責任者として従事するように指示されました。
その後の彼の活躍は、目覚ましいものがありました。教育委員会事務局職員、防災課、学校の教職員などで構成する委員会を設置し、その事務局として、文字通り走り回りました。その結果、関係者が納得・合意するマニュアルが完成したのです。
彼にとっては、自分の防災課時代の経験を活かすことができるので、少々の困難も苦ではありませんでした。そして、出来上がった「学校防災マニュアル」の内容は、彼の経験が生かされていたことは言うまでもありません。その時、彼が「仕事が楽しかった」と言った姿がとても印象的でした。
もし、彼に防災課の経験がなかったら、 ここまで情熱的にはなれなかったでしょう。数多くある担当業務の1つとして、指示されたとおりに淡々とマニュアル改定に取り組んでいたかもしれません。しかし、それでは、先ほどのような深い満足感は得られなかったでしょう。
また、こうした自分の経験や能力を発揮できたと感じられる仕事の成果は、単なる「やらされ仕事」の成果とは全く異なるはずです。仕事の醍醐味は、このようなところにあると思うのです。
彼のように、かつての経験がそのまま活かせるというケースは、それほど多くないかもしれません。しかし、少しでも自分なりのアイデア・工夫を取り入れる場面はあるはずです。エクセルの知識を活用して集計を自動化する、議事録をフォーマット化する、住民向けのパンフレットを見やすいように改善するなど、活用できる場面はいろいろと考えられます。これにより、事務が効率化できれば組織にとってもプラスになります。
「言われたことだけ、やっていれば良いや。改善なんて、面倒なだけ」という意識では、何ら変わることはありません。また、仕事に面白さを感じられる、せつかくの機会を失わせてしまうように思うのです。もちろん、「自分なりの工夫」と言っても、あまりに現実離れした内容で、周囲の職員が理解不能なものでは困るのですが……
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