5 言うのはタダだが、後のことを考えろ

格言集

皆さんにも、こんな経験はないでしょうか。「まあ、ダメかもしれないけれど、一応、こちらの希望を言うだけ、言ってみるか。言うのは、タダだし」と、少しハードルの高い要求を相手に投げかけてみるということが。

これは、一見良さそうに思えますが、実は、大きな代償を払うかもしれません。例えば、予算要求で財政課の担当者に、「予算要求にはあげていないんですが、できれば〇〇についても、増額をお願いしたいんです。最近、住民から〇〇に関する問合せが多くて…」と安易に言ってしまうようなケースです。

財政課担当者は、この一言に対して次のように考えます。
①正式な予算要求に含めていないということは、十分に検討したものではないはず
②先の発言を踏めると、「ついでに要求した」という感が否めない
③以上を踏まえると、予算要求に対する真剣さが感じられない
④よって、この所管の予算要求は厳しく査定して構わない

これは、少々極端なケースかもしれません。しかし、先の不用意な発言で、財政課担当者の態度を硬化させてしまう可能性は、ゼロとは言えません

財政課担当者は、先の発言を受けて、ニコッと笑います。そして、「要求は、お聞きします(笑)」とさらっと受け流すのです。その後、その所管の予算要求を、隅から隅まで厳しく見直し、がんがんと要求を切り捨てていくなんてことは、普通にあることです。

予算査定の結果が所管課に伝えられ、「今回の査定は、ひどいな。ゼロ回答どころか、昨年の予算額よりも、削減されているではないか。財政課は、我々に何か恨みであるのか!」と嘆いても、後の祭りです。先の不用意な発言をした職員は、自分自身の行いが招いた結果であることを気付いていないでしょう。

こうしたケースは、何も一般職員だけに限りません。事業課の課長が、人事課長に対して職員数増を求める場合も同じです。「うちの課は、どこの係も人員が足りない。〇〇係も、△△△係も、それに◇◇係もだ。これでは、うちの課はやっていけない。人員増してくれ」と、現実的でない要求をしてしまうのです。

ただでさえ厳しい職員定数に対して、自分の課のことだけしか考えない課長は、やはり後で痛い目に遭うのです。人事課長からすれば、「今の状況を理解して、こんな要求をしてくるのか」と、内心、腹立たしさでいっぱいかもしれないのです。

やはり、「言うのはタダ」ですが、迂闊な発言は悲劇を生むようです。

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